参観の時に、園庭の一角に年長組の「青空キッチン」があったのをご覧頂いたでしょうか?
「ごはんづくり」は年少組の時から、子どもたちが大好きな遊びの1つです。そのごはんづくりも、子どもたちの成長とともに遊び方は変わっていきます。このキッチンでは、本物の野菜や果物の皮を小さな子ども用の包丁で切り、お鍋に入れていためたり、水を入れてスープをつくったりしています。
果物の皮は切ると、とってもいい香りがして、その前を通る年少や年中組の子どもたちも「あっいいにおい!」と足をとめる姿もありました。安全に遊ぶために包丁は3本までと決まっています。とりあいになることもなく、声をかけ合い使っています。「手はねこの手だよ」と教え合ったり、包丁を使っている友だちと上手に距離を保ち、自分の場所を確保したりもしています。「じゃあ、お皿の用意しておくね」と自然と意見がとびかい、役割分担もしています。
お手伝いなども含め、生活経験が豊かになってくる年長組では、本物を使って遊ぶ現実的な遊び方に魅力を感じ、楽しめるようになってきます。そして意見を出し合いながら遊びをつくっていくのも、まさに年長らしい姿です。
それを興味深く見ているのが年中組。
でもやみくもに「やりたい!」とは言いません。包丁を使うのは、自分たちには「ちょっと難しい」と感じ、ここはお姉さんやお兄さんたちの所とわきまえているからです。そしてそんな難しいことをやっている「年長さんってすごい!」とあこがれの気持ちをもってながめています。
その年中組のごはんづくりはお花を使ってのお料理。花びらをすりこぎでつぶして、水を加えてジュースにしたり、(砂の)ケーキの上に飾ったり…やわらかい花びらと冷たい水の感触を味わいながら、できたジュースをペットボトルに入れてのレストランごっこが始まります。やりたい子どもたちが集まってきて大にぎわいです。
ところがしばらくすると、「きついからむこう行って」「○○ちゃんがおした~」「○○ちゃんとやりたいのにやってくれない~」と、小さなトラブルも出てきました。これが年中組の発達段階です。ひとつひとつ解決していく中で、気持ちの伝え方を学び、相手の思いを知り、受け入れたり、受け入れてもらったりすることを経験し、友だちとの関わり方をつかんでいきます。
そして年少組は…
青空キッチンにお客さんとして呼ばれています。自分のクラスで過ごすのが精一杯だった子どもたちが、年長組の子どもたちに手をひかれテーブルまで案内されているなんて!年長さんのおもてなしに圧倒されている感じもしますが、楽しい雰囲気は感じています。
自分が幼稚園で生活するのに必死だったのが、少し視野が広がり、新しい楽しいことに気持ちが向けられるようになったのは大きな成長です。そしてそれができるのは、幼稚園が安心できる楽しい所!と感じられるようになったからですね。年少組では初めての遊びや活動を、保育者と友だちと一緒にやってみて、楽しい経験を少しずつ積み重ね、生活の視野が広がっている毎日です。
各学年のそれぞれの子どもたちの「やってみたい!」という意欲を大切にするとともに、子どもたちが「やってみたい!」と思える環境をつくっていくのも、私たち保育者の重要な役割だと考えています。7月も、しっかり環境を整え、子どもたちの心に向き合って過ごしていきたいと思います。